独自ECサイトを構築・運用する費用(初期費用全体&運営編)

さて、今回のお題は独自でECサイトを構築しようと思った時に考えるサイト構築の費用です。WordPress でECサイトを構築する場合に限ったことではありません。
あくまで一般的なお話と、結構見落としがちな部分の話をさせて頂きます。

まずは、ECサイトを構築する場合のフローを把握しないと発生する費用が見えてきませんので、ECサイトを構築する基本フローを見てみたいと思います。これは、独自サイトに限らず、ショッピングモールの場合もほぼ同じになると思います。

  • ECサイトの取扱商品と運営者の状況から要件の検討
  • 商材とその見込み顧客層(マーケット)などから想定したサイト設計
  • 利用するシステムの選定と費用算定
  • デザインの作成
  • サイトの作成(コーディングやシステムのカスタマイズ)
  • 商品登録、説明ページの作成及びコンテンツページの作成
  • サイト表示テスト及び運用テスト

ちょっと上げてみて、これ全部を説明するとなるとかなりのボリュームになるなと分かったので個別に分けてみることにします。
そして、最後に総括した方が良いかなと。

ということで、まずこの投稿では全体としてのついつい忘れがちな(他の書籍やブログでは指摘しない)部分について、触れておきます。
最初の構築とそれからサイト作成後の運営についても書きます。

自分や自社のスタッフが関わる時間や作業時間

このことを忘れている中小企業の方が多いです。ついつい請求書が出るコストばかりが気に取られてしまって、自社内での負担を見落とすケースです。特に色々なことが出来てしまう賢い方が多い会社に見られる傾向です。
というのが、「自分(自社内)の作業=無料」のように考えてしまうからです。
実は一番良くないパターンです。いわゆるブラック企業化していくパターンです。爆
まずは、自社の力量と能力を高く評価することは良いのですが、時間というのは有限です。ということは、サイトの構築や作成よりももっとしないといけないことが無いか?と考える必要があります。もちろん、ホームページを管理運営するために雇った人ならばそれでいいかと思うのですが、よく陥るパターンがネットショップ通販をするために雇った人に、ホームページの運営から出荷まで全てやらせようとして、ブラック企業化するパターンです。これ、実に多いパターンなんです。
初心者歓迎などと書いて、「社内で教えたら良いじゃん」的な感じで募集して、お仕事をさせるパターンですが、残念ながらネットショップはそこまで簡単に成功する業界ではなくなっています。もしこのようなパターンで成功した場合は運が良かっただけです。また15年ほど前(2000年ごろ)であれば、ECサイトを作ればある程度売れた時代だったらどうにかなったかも。今だったら採用されたスタッフがかなり有能であったか、商材が抜群に良かったのか、そのどちらかです。

まずは、全体業務を把握しないといけません。大きく分けて、ネットショップを運営する時に考えないといけない業務は以下の3つです。

  • 商品入荷・出荷やお客様のお問合わせ対応などの日々の運営業務
  • 営業活動にあたるアクセス解析や広告管理業務
  • 商品登録やコンテンツページの作成業務

これを全部一人でやるとなると、かなりのスーパーマンでないと難しいです。想像してみてください。売上がそこまで高くなければ、最初の日々の運営業務は少ないかもしれませんが、営業活動や商品登録は結構手間が掛かります。そして、売上が上がってくるとサポートが大変になっていきます。

忘れがちですが、売上をあげたいと真剣に思うのならば、運営上やらないといけない業務をしっかりと考えないといけません。もちろん、単純に仕事を分けたら良いということではありません。それぞれの3つの区分が絡み合ってきます。それぞれの業務を縦割りにすると上手く行きません。これは、私の経験からもそうです。ある程度の業務を区分けしますが、その中で意見や相談が出来やすい関係を作り、全体として業務改善できるような仕組みを作らないといけません。

では、具体的にこの3つの業務がどのように関わってくるのかということを幾つかの具体例を元に説明していきます。

入庫・出荷業務と商品登録の関連(SKUコード設定)

現場とシステム開発においてよくある問題点なのですが、それぞれが作業を楽にしようとすると大抵が問題となります。
システム開発は最初の段階でしっかりと仕様を考えておかないと、後で変更となると手間が増えるだけでなく、システムがごちゃごちゃになって、最終的に管理がしにくくなります。
もちろん、月間の売上が10万円のサイトと1億円のサイトでは作りが違うのは分かるかと思いますが、10万円の段階から100万円ぐらいの売上に対応出来るように準備しておく必要があります。これでよく起こるのがSKUコードの設定です。SKUというのは、最小管理単位 (Stock Keeping Unit) の略です。簡単に言うと在庫管理をするための商品コードと考えて頂ければ、比較的容易にご理解頂けるのではないかと思います。これがJANコードなどがあればそれを使えば良いのですが、無い場合などは独自でコードを作る必要があります。それをシステム開発の人間は単純に順番に並び順で作っていくと、番号で商品を特定する時に一覧表を見ないとわからなくなります。それをカテゴリー毎に桁数などを分けておけば、大体の商品群が分かるようになります。
こういうのは極端な例(普通のシステム開発の経験者ではこれくらいは気がついて現場が動きやすいように検討してくれます)なのですが、現場でしか分からない管理の仕方などがあり、商品管理番号や納品書の形などは現場と商品登録やその他に関わる部分でしっかりと話し合える環境を作っておく必要があります。

営業活動とホームページのコンテンツ作成

 売れないECサイトで良く起こることなんですが、「カッコイイデザインだから売れる」と思っている方が多いです。実はそんなことはあまりなく、購入見込み者が必要とする情報を、分かりやすく掲載されているサイトの商品が良く売れるのです。もちろん、その上でデザインがかっこよければ良いですが。これは、UX(ユーザー体験)と言うのですが、興味のある方は 『UIとUX』 をしっかりを勉強すると良いです。
 もちろん、ブランディングにおいてサイトのイメージやデザインは大事です。ですが、ウェブサイトで商品を販売するという点で言うと消費者に商品の内容をわかりやすくするということが大事です。しかも、そのターゲット層(若い方向けか、年配の方向けかなど)を把握した上で考えるべきです。場合によってはPCサイトよりもスマホサイトの方に注力した方がいい事などがあります。
 ただ、デザインとなると個人の感性の差が多分に出ます。となると、指標となるのがECサイトの場合はアクセス解析となります。例えば、あるページの閲覧時間が比較的長く、コンバージョン率(購入率)が高いようであれば、そのデザインがターゲット層に適したデザインの可能性があります。一番良いのはABテストと言って2つの商品ページを作り、同じようにアクセスをさせて測定して、よりよいデザインを求めるという方法です。
ですが、これは売上がある程度上がってきたら対応出来ればベストですが、一般的にはアクセス解析などの数値のみで対応することになるかと思います。
ですので、営業側はアクセス解析の情報などを分析した上で、コンテンツ作成者と協議して、商品ページの改善やコンテンツページの追加や改善を進めていく必要があります。単純に営業側のデザインセンスで言うと大抵が嫌な顔をされます。何故なら、通常コンテンツ作成をするデザイナーの方がデザインセンスは良いので。だって、デザインのプロですからね。でも、数字などを明確に出すことによって方向性を理解しながら改善していくのが一番ベストだと思います。

お客様のお問い合わせを考慮した商品ページ

 デザイン性の高い商品ページにした場合に起こることなのですが、具体的な商品名が分かりにくくなることがあります。そうなると、商品について問い合わせをしてくるお客様がフワフワした説明で現場が対応することに苦慮することがあります。
 ですの、商品ページごとに問い合わせ窓口を作るとか、商品名を分かりやすくデザインし直すなどの必要性があります。
 また、コンテンツを作成する人はお問合わせなどを受けるスタッフと情報を共有して、多くある質問を商品ページ上で理解できるようにすることでお問い合わせの数を減らすことが出来、業務改善に繋がります。

 上記の3例はほんの一部です。分かるかと思いますが、全部が独りでできればそれは良いのですが、正直無理です。ですので、分業をさせた上で情報共有がしっかりと出来るようにすべきです。ある程度の規模の会社でしたら、それぞれの業務を定期的に人事を入れ替えることによって、仕事の内容を把握した上で協力し合える仕組みが作れますので、検討されたら良いかと思います。日本の今までの一度仕事を覚えさせてら部署異動をしないというような旧時代的な企業運営は特にECサイト運営には適さないです。

 また、この上記3つの業務をアウトソーシングすることも検討をすべきです。というか、した方がいいことのほうが多いです。特に「入荷・出荷業務」と「コンテンツ作成業務」などの管理者は自社内で持つべきですが、手を動かす人というか実作業をメインでする人はアウトソーシングした方が良い場合が多々あります。もちろん、ある程度売上が上がった場合です。月10万円程度の売上の場合はさすがに無理なので。
 なので、どのタイミングでアウトソーシングした方がいいのかなどは経営者は常に心がける必要がありますし、現場の担当者もどのタイミングになったら経営者に相談をしたら良いのかなどを考えておくべきだと思います。
 アウトソーシングする方法としては、入庫出荷業務に関しては専門の業者に頼んだり、コンテンツ作成はフリーランスの人を使うとか、色々と方法はあります。ギリギリになってからでは、よい業者を探すことが出来ないこともありますので、早めに基本知識などは手に入れておいたほうが良いと思います。また、この辺りは別の機会に書きたいと思います。

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